Ⅳ.考 察
糠成分を含む「玄米」は、古来、身体によいと言われており、本研究においても、玄米食が海馬内のBDNF 量を増加させた。しかし、玄米群は有意な機能性向上を示さなかった。一方、独自の発芽手法を用いて作成した「発芽玄米BDNF」は、皮質内、および、海馬内のBDNF 量の増加は統計学的有意を示し、かつ、「抗うつ様活動(脱出意欲)」を高め、空間学習記憶能を向上させた。
本発芽玄米は“理論的に”以下の成分を含む。
1.GABA(ギャバ):白米には殆ど含まれず、また、玄米にも僅かのみ、であるが、発芽時の良好な酵素活性によって胚芽、その他の部分で産生され、増加する。頭部外傷後の記憶力の低下を改善させることを目的とした保険適応を持つ臨床薬の成分。最近、適量摂取によって良好な入眠(と覚醒)作用を有することが明らかとなった。
2.γ(ガンマ)‐オリザノール:米糠に含まれている。フェルラ酸と食物ステロールとの結合体。緊張や不安、抑うつの改善、または、高脂血症の改善を目的とした保険適応を持つ臨床薬の成分。
3.フェルラ酸:米糠に含まれている。本物質の強い抗酸化力により、食品添加物として使用されている。最近、本物資の人での抗認知症作用が期待され、抗認知症効果を期待する、いくつかの「サプリメント」が販売されている。
4.食物繊維:米糠や胚芽に含まれる。腸内細菌叢の健全な育成と、脳精神機能を高めることに寄与する(健全な腸脳相関)に必須の物質である。
5.玄米乳酸菌:米糠に含まれている。「鮒ずし」や「酒粕を原料とする甘酒」等、様々な発酵食品に古来、利用されており、摂取後に腸内で生存・増殖することで(腸脳相関)、精神神経活動を含む様々な健康増進効果や寿命延伸効果が期待されている。
6.ビタミンB1: 米糠に含まれている。神経系のエネルギー利用を助ける、神経活動には欠かすことのできない因子である。本ビタミンが不足すると、軸索変性、多発性神経炎が生じ、脚気心、ウエルニッケ脳症(コルサコフ症候群)、大脳皮質壊死症、等が発症する。
すなわち、“発芽玄米BDNF”とは、米糠成分を含む、これらの「神経・精神活動に必要、または、有用な、多数の機能性成分」を含む食品であり、いわば、神経・精神の機能性食品として捉えることができる。しかしながら、市場で販売されている様々な発芽玄米製品が、必ずしも、脳内BDNF を増加させるとは限らず(注:研究の結果、マウス脳内のBDNF を有意に増加させる既存製品は見い出せず)、また、一部製品においては、マウス脳内のBDNF 量を有意に低下させた。
市場にある様々な“発芽玄米”の質を総じて論ずることはできないが、研究目的に作成した発芽玄米による、糖尿病性神経症、糖尿病性酸化ストレス、または、うつ症状の改善効果 (23-26)、および、母乳栄養中の母親のストレス耐性を増強した (27) との報告はある。
牛は草食性動物のために、肉(筋肉等、臓器、および、便)の臭みが無く、また、大きく育ち、かつ、おとなしい性質のため、大地が不毛な地域を中心に、”便利な”食材として用いられてきた歴史がある。しかしながら多くの人類が牛を食するようになり、飢餓人口の増加と地球に温暖化を促進している(人は雑食することでその肉に臭みが生じており、実際、外科手術時に電気メス等で筋肉を焼却すると独特の臭みが生じる。すなわち、焼かれた肉が臭いか否かは、その個体の食内容が決めている)。
《以下では、様々な経験を持つ個人、または、日本や世界の食と健康/病気、政治/経済、さらに、先の大戦の在り様、今だからわかること等も振り返り、私たちの過去と歴史を紐解くことで、今の私たちの生活と食の在り方を考察し、これからの和食の在り方をみつめます》
【個々人が経験した食と健康】
我が国のトップアスリートの一人、工藤公康投手(前ソフトバンク監督)は若き日、極度の体調不良とスランプに陥り、それを契機に自らの食事内容の改革に取り組んだ。その結果、当時の富の象徴でもあった肉(哺乳類:機能性、または、病原性蛋白質を含む可能性のある赤身)食から遠ざかり(幼少時から赤身は殆んど摂取していなかったとのこと)、玄米食や発酵食品を常に食し、四季折々の旬の食材を取り入れる、また、タンパク質は大豆や魚介類から、という“伝統的な和食”にこだわった(28)。その後、彼は投手への復活を達成したのみならず、29年間におよぶ(プロ野球投手としての)現役時代を送ることができ、通算成績224勝(内、40歳以降の37勝は日本記録)という快挙を打ち立てたことより、当時、彼が取り組んだ「食への取り組み」は、効を奏したと言える。全国制覇を成し遂げているソフトバンクチームでは、今も、少なくとも一部の若手選手において、動物性タンパク質を避けた食生活が実践されていることは、他の多くのアスリートが理解すべき重要な事柄である。
ドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー(日本語訳:「私に特大を」、または、「私を特大に」)(2004年)、監督:モーガン・スパーロック」、では、主人公(監督自身)が一か月間、ファストフード(米国M社のハンバーガー)のみで生活することによる身体への影響を調べるというドキュメンタリーを作成した。その結果、初期の頃の異常なまでの依存症的体験を経て、最期にはドクターストップがかかる代謝異常と「(深刻な精神不穏を示す)うつ症状」を呈した。そのように、現代社会で様々に多用化する食事(食材)は、カロリー計算や既存の栄養論のみならず、精神・神経面への影響(機能性)をも考慮する必要がある。現代人が多食しつつある肉類(赤身等)に含まれる動物性タンパク質は、すべてが体内で消化・分解され、アミノ酸に至るとは限らず、何等かの精神・神経機能性を持つホルモン(機能性ペプチド、または、機能性タンパク質)、または、プリオン性(神経機能障害性、または、記憶保持)物質として体内に残る可能性があり、’苦しく生きた’、または、’苦しみの中で死んだ’動物の肉は、その苦しかった記憶を伝える働きを持つ可能性がある(後述)。
上記映画は、人が生活習慣を変えることで、1か月という短期間に「うつ症状」を呈することが示された。しかしながら、私たちは、日常食の、心身へ及ぼす機能性を必ずしも意識せず、「強いマーケティング」や、近年の経済戦争がもたらす「誰かによる都合主義の、世論の操作を目的とする ”フェイクニュース ”」に囲まれつつ、日々の食生活を送っている。筆者が考える赤身の利点とは、アミノ酸へと分解可能な一部のタンパク質と、ビタミンB群(糠成分)/葉酸(海藻)等のミネラルにあり、それらは赤身以外(肥沃な大地)からも摂取できる。最近流行りの「低糖質/赤身食」、または、動物性タンパク質の比率を高めた低糖質食事法を、少なくとも筆者は決して勧めない。筆者は、動物性脂肪(動脈硬化リスク)よりも末梢神経組織を含む動物性タンパク質(すでに報告されている発癌リスクと正常プリオンによる精神機能誘導性)の方が、より高い危険性を有していると考える。
【プリオン病 (“感染性を持つタンパク粒子”によって発症する病気)の出現と拡大】
人による哺乳類の摂食習慣は、クール―病 (人が人を摂食する食習慣がある地域で発症し、やがて脳神経細胞が破壊される) 、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(人が「牛(人が準備した肉骨粉)を牛が摂食すること」で成立し、同じく脳細胞が急速に、または、緩徐に破壊される(=外見上、緩やかに進む認知症として出現する)。異常プリオンに汚染した臓器 (牛、豚、ヤギ、ヒツジ、ミンク、猫 )の間接的、または、直接的な摂食、治療を目的とした外科的臓器(硬膜や角膜)移植、輸血、または、それから抽出した成長ホルモン治療薬の使用後に発症する変異・獲得型クロイツフェルト・ヤコブ病の3分の1の症例は、非劇症/非典型分類に属し、たとえ発症しても通常の認知症との区別は付き難く、その後の脳組織の採取が必要となる確定診断にも至り難い(29)。それらは、病原性/異常プリオン・タンパク質(253個のアミノ酸から成る)の人による経口摂取(摂食行動)が原因と考えられている。体内への侵入経路は摂食後の消化官粘膜ばかりではなく、その他の粘膜(口腔/舌下、鼻、副鼻腔、眼)や怪我等で露出した真皮/結合組織からも侵入する(30-31)。
その他、異常プリオンタンパク質を感染源とするものではないが、哺乳類から人へと感染する病原菌には、2019年末、中国(中華人民共和国、People’s Republic of China: PRC , 1949年建国)/武漢で発生した新型コロナウイルス肺炎(感染したタケネズミ、アナグマの人による摂食、ウイルスはコウモリが媒介)に限らず、中東呼吸器症候群: SARS(感染したハクビシン、ジャコウネコ、タヌキの人による摂食、ネズミが媒介)、MARS(感染したヒトコブラクダの摂食、コウモリが媒介)がある。それらのウイルスは、「自分に適した宿主(上記哺乳類)」には害を加えない(非病原性である)が、人が宿主となった場合は、その健康を害し、時には死に至らしめる(病原性を発揮する)。今後、それらへの抗ウイルス剤、または、抗プリオン剤の開発に頼る一方、WHOが一部地域での人肉の食習慣を禁じたように、それらの原因となる野生哺乳類の神経組織《正常プリオン》を含む末梢神経を含む筋肉部分、その他、神経組織の摂食を禁じ、さらに、すべての家畜を一般野生動物から隔離する必要がある(しかしながら、鳥インフルエンザの世界的制御が難しいように、野鳥も病原性ウイルスを媒介するため、すべての家畜の完全な隔離飼育は容易ではない)。
哺乳類食には私たちと同様、”母乳によって育てた、または、母乳を与えたかった母親” が存在するが、高額で取引される一部の仔牛は、生後より母乳が与えられず、かつ、筋肉が硬くならないよう十分な運動ができないような狭い環境で育てられている(西欧では、そのような ”肉を柔らかくすること” を目的とする「クレート(荷造り用わく箱/梱包枠/移動用ケージの意味)飼育法」への反対運動と法規制が生じ、牛肉生産国の米国もそれに準じる州が増えつつある)。
同種食(人が人を食す、または、牛が牛【の死体を乾燥、粉砕したもの】を食すること)のみならず、哺乳類による哺乳類の摂食習慣には、上記のような時に致死的な病原性リスクが潜んでいることが明らかとなってきた。最近では、 アルツハイマー病の原因物質としての凝集性 (ミスフォールド=形成不全型) アミロイド・ベータや、 パーキンソン病の原因物質としての凝集性(形成不全型)アルファ・シヌクレインと、上記の「異常プリオン」による神経組織内での病態進行様式との類似性が注目され(32-33)、いずれもプリオン病に分類されている。すなわち、タンパク質が細胞内で生まれる時の、または、生まれた後の” ミスフォールディング:形成不全=機能障害性と感染性を獲得する変形”が原因となり、それが他の正常タンパク質(正常プリオン)と接することで、正常プリオンを次々に異常プリオンへと変えていきつつ増幅し、やがて発症する神経変性疾患が存在する。また、それら異常プリオン(タンパク質)は、それを目的とする特別な殺菌作業を行わない限り、病院内等で行われる通常の病原菌への殺菌法や一般的な調理法では死滅しない。我が国では、一定期間、輸入牛に対する異常プリオンの有無がすべての個体(輸入牛肉)で行われたが、それらの検査すべては、異常プリオンが増幅し、検出可能となるといわれる年齢に達する前(発症前年齢)に屠殺され、かつ、検出可能となる神経系等の(ハイリスク)臓器のすべてが除外されており、検査前に、殆ど検出できなくなるような(診断目的ではなく、病原体の濃度制限:検出感度以下が確認された臓器の輸入を許可する、という専門的な)制限が設けられていた。時々、牛の脊髄等の危険箇所が輸入肉に含まれていると、日本のマスコミが、ルール違反を犯した米国業者の仕業であると報道していたが、それはすなわち、臓器をしっかりと選ばなければ、特に高濃度含むことが明らかな中枢神経系を除外しないと、異常プリオン混入と変異・獲得型クロイツフェルト・ヤコブ病発症の危険性があると言っていることと同義である。しかしながら、筋肉組織にも末梢神経が存在し、中枢神経系を除外しても、感染動物が存在する限り、口に入る異常プリオン数がゼロとは限らないが、風邪などのウイルス感染と同様に、「濃厚感染でなければ、病原体の体内侵入数が少なければ良く、病態の性質上、増殖には年月がかかるため、速やかに、または、因果関係が見えるような形に発症することは無い、だから安全と言える」と判断されている。すなわち、劇症型発症を起こしやすいと考えられる比較的高濃度の異常ブリオンを除外することを目的とした日本政府の対策が講じられていた(輸入牛肉に対する全頭検査は2017年4月に終了したが、舌や頬肉、頭皮以外の頭部(脳神経組織、眼球、頭蓋骨、頭蓋骨付着筋、扁桃)や脊髄、遠位回腸を含む危険部位(異常プリオン濃度が高くなる高濃度感染のリスクを有する臓器)を含む牛肉およびすべての牛肉製品(加工牛肉)の輸入は、今尚、禁止されている=日本厚生労働省のHPにおいて、それら禁止部位の詳細は、英語表記による添付PDFファイル内となっている=おそらく、国内向けではなく米国民向けメッセージのため。ただし、過度に国民の不安を煽らぬようにとの政府の配慮や外交を含む現在の国際情勢=目には見えない様々な力・バランスが影響している可能性はある)。
前世紀末のイギリスにおいて、家畜ヤギやヒツジの餌に同種を用いたことにより、それぞれの海綿状脳症が発症し、その死体を餌としたことで、牛へと感染し、1992年、3万7千頭に上る「狂牛病(牛・海綿状脳症)」が発生していたことが確認された。その後、同感染牛肉がヨーロッパ市場に出回ったことで、人型狂牛病「変異・獲得型クロイツフェルト・ヤコブ病(脳が海綿状:スポンジ状に破壊される病)」がイギリス/アイルランド/オランダ/フランス/イタリアへと広がり、そして、香港/アメリカ/カナダ/日本へも拡大した。その発症までの期間(潜伏期)は当初不明であったが、「ヒト汚染乾燥硬膜」の脳外科手術時における「硬膜移植後の遅発性発症例」によって、10年、20年、または、30年と、非常に長期であることが明らかとなり、最長50年とも言われている。変異型/獲得型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が蔓延した地域・時期となる、イギリス(1980年から1996年の間)に1日以上の滞在歴、または、1997年(平成9年)から2004年(平成16年)までに通算6カ月以上の滞在歴を有する方々からの日本国内での献血が禁止されたが、 同流行への対策開始から14年を経た2010年、国内での輸血用血液が不足しているとの現実的な必要性もあり、上記制限:1980年から1996年「1日以上(1泊以上)」は、「通算1カ月(31日)以上」に緩和された。
以下は日本赤十字社の現在の説明文である「BSEの原因といわれる肉骨粉が英国で使用され始めた時期が1980年とされています。また、英国での牛の危険部位の流通制限が徹底されたのが1996年であることから、1980年から1996年までの英国は、それ以外の時期よりも変異型(/獲得型)クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染するリスクが相対的に高い時期にあったと考えられます。」 筆者注:その間の滞在歴があっても、羊・豚・ヤギ・牛等の肉食、当時のホルモン製剤の使用、輸血、臓器移植等の既往が無ければ、感染リスクは殆どない。
緩やかに発症する認知症であり、近年、プリオン病に分類された「アルツハイマー病」も、様々な癌細胞の発生と同様に、発症の何十年も前から初期の病的段階が始まっており、知らず知らずの「異常プリオン類似、病原物質」の体内への侵入、または、原因不明の「体内での発生」がその原因と考えられる。初期の段階において、正常ブリオンが、なぜ異常ブリオンに変形するかは不明であるが、少なくとも、人が人肉のみならず、哺乳類の神経組織(を含む部位)を食することには、変異/獲得型クロイツフェルト・ヤコブ病による(非劇症型遅発性)認知症の発症リスクが否定できない。 実際、獲得型CJDの約半数の症例がアルツハイマー病を合併していたとの報告もあり、両者の関連性が研究されている。アルツハイマー病と診断された患者の中に、認知症が緩やかに進行する非典型クロイツフェルト・ヤコブ病(初発症状としての、抑うつ、不安、自閉、異常行動)が含まれていたとしても、現在、劇症型/典型/孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が疑われた患者のみに確定診断(脳組織を採取、その他、特殊な検査を)は行われておらず、アルツハイマー病と変異・獲得型CJD、または、血管性認知症と変異・獲得性CJDとの混合型認知症を含め、緩やかな発症を呈する認知症の実態は不明である(いずれも潜伏期が数十年以上にも及び、かつ、緩やかに発症するために他の疾患との区別がつきにくく、また、簡易診断を可能とするバイオマーカーが発見されていないため詳細な疫学調査を含む科学的な実態把握は極めて困難である(1999年から2014年の我が国において、65歳以上の高齢者数の増加率:1.6倍に対し、国内アルツハイマー病の患者数は3万人から53万人:18倍となっており、また、その他の精神・身体疾患も今世紀に入り急激に増加していることは前頁/諸言に記載したごとくであり、それらは少なくとも、我が国の人口の高齢化による母数の増加による患者数の増加、のみでは説明できない)。
どこかに生じた「感染原性タンパク質/異常プリオン」がもたらす哺乳類間での感染、または、(他の個体に生じた異常タンパク質を食することによる)個体から個体へ、さらには、神経細胞から神経細胞へ、感染型/連鎖型/増殖型神経変性疾患の存在が明らかとなっている(34-39)。驚くべきことに、「正常プリオン(個体から個体へと移動可能な、極めて安定性の高い物質)」が、記憶の保持機能を担うことを示唆する事例が存在し(40)、脳死者からの心臓移植手術を受けたレシピエントが、若くして脳死に至ったドナーの、生前の記憶(食の好み)を、知らず知らずに受け継いでいた例が報告されている(実際、彼女はそのことを不思議に思い、当時の新聞を通じて開示されるはずのないドナー家族を探し出し、それが生前の彼:ドナーの食の嗜好であったことを確認した)(41)。我々は、個々のシナプス構造や、その元となるDNAこそが、個や種の生存時間を貫く「生命発生から現在までのすべての記憶」を保持すると考えているが、その他にも、極めて安定性の高い(通常の高熱滅菌処理にも耐える)タンパク質として、個から個への移動が可能な「正常プリオン」が担う可能性や、神経系の難病には感染力と伝染性が極めて高い「正常/異常プリオン」が記憶の書き換えや消去に介入する可能性がある(記憶を消去していく伝染性神経疾患は上記のごとく実在する)。もしも、正常なプリオンタンパク質を介して、哺乳類から哺乳類への記憶伝搬が生じるのであれば、食された哺乳類の生前の生き様が、それを食した者の生き様に何らかの影響を与える可能性がある。さらに、驚くべきことに、植物等の環境に付着した「異常プリオン」は、年月を経ても尚、その感染性や毒性を失わないことが報告されている(42)。 すなわち、汚染された自然界/植物の完全な殺菌は困難であり、いつかそれが哺乳類の口に入ることで、同個体の神経系で時間をかけて増殖し、糞便等を介し、環境汚染がさらに拡大する機構が存在する。
世界のグローバル化により、または、米・英国の食文化(低価格化した赤身)の輸入、強いマーケティングという経済と雇用を維持しようとする力によって、様々な物品/食品が、全国津々浦々へと浸透し、消費され、生産性と販売の拡大(経済の発展)が生じている。その結果、特に、安定的、かつ、進化する、また、各国が競い合う国防への備え、との意味においても、個人と国家の経済力が益々重要となった戦後、かつての兵器の力さえ、マネーや情報(操作または制御または独占)の力に置き換わりつつある現代、私たちはこれまでの、稲(糠を含む玄米)という伝統的食文化から遠ざかりつつある。 現代の食習慣の、肉体的・物質的状況のみならず、神経・精神的状況への影響をも深く調査、考慮/検討し、より良い選択と支援をする必要がある (43-44) 。
【生産性/経済性を高めること 対 地球環境/健康を守ること】
「エコバッグ」や「マイ箸」がいかに流行ろうとも、我が国での「ミートレス運動」がさほど流行らないのは(米国からの牛肉輸入は、前年比率:プラス20-30%の勢いで推移しており)、依存性を伴う嗜好性の拡大が根底にあるとは言え、赤身を輸出する友好国への政治的忖度(政治的特殊性)、または、経済力を背景とした取扱い業者の強いマーケティングの力(ロビー活動)が考えられる(44)。
最近では、様々な健康情報番組が赤身食を支持しており、それによる何らかの(不足したミネラル摂取との)メリットは、個別例においてはあり得るが、現代の情報発信力は、スポンサー(または、背後にあり、消費者が気付き難い経済と雇用)の力にあると言っても過言ではない。いち早く肥育ホルモン(エストロジェン、プロジェステロン) =肥育促進剤(いずれも、ヒトにも機能する哺乳類由来の機能性ペプチド/タンパク質) を用いた飼育法を取り入れたEUでは、ヒトへの影響が生じることを懸念し、1988年には国内での使用を禁じ、1989年に肥育ホルモンを使用した肉の輸入を全面的に禁止した。一方、日本国内での「肥育ホルモン剤」の使用は認められていないが、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは「肥育ホルモン剤」の、成長促進を目的とした使用が認められており、それらの産地よりの牛肉や豚肉の輸入と、それらの消費活動に関する制限は設けられていない。
近年、米国内では、生産性を高めた(自然の倍以上の速度で急速に成長した)牛を食することへの抵抗感より、「ホルモンフリー(生育時、飼育ホルモン:機能性タンパク質または機能性ペプチドの無使用飼育)」として区別された、より高価な(市価の4割増)赤身が市場に急速に出回っており、そのように消費者の関心が高まり、選択の余地が広がっているが、我が国ではまだ、その域に達していない。その理由の一つとして、肥育促進剤の使用に関する我が国(農林水産省/消費・安全局畜水産安全管理課)の基本的見解としては、「肥育ホルモンとは、牛や豚などの肥育促進を目的に使用される動物用医薬品等です。日本国内では、農林水産大臣による動物用医薬品としての承認はなく、また飼料添加物としても指定されていないため、使用されていません。」とされているが、実質的見解(輸入される赤身への国内での制限が無いことに関する説明)として、「「国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)が定めている一日当たりの摂取許容量(毎日一生涯食べ続けても健康に悪影響が生じないと推定される1日あたりの摂取許容量)を下回る範囲内で、肥育促進剤の残留基準を設定するとともに、基準を超える食肉の輸入や販売を禁止することで、食品の安全性を確保しています」とされており、いわゆるダブルスタンダードの状況となっている。国際保健機関の提言をそのまま認めるのであれば、国内もそれに従えばよく、もしも、承認しないのであれば、使用を承認している国からの赤身の輸入制限を実施すべきではあるが、様々に渦巻く大きな力の中で、巧妙に仕組まれた、または、考え抜かれた技(何か大きな力への忖度、または、見えない力と力のバランスがもたらした必然)と言える。同文で示される「安全性の確保」とは、国際専門家会議が条件付きで判断し、日本はそれに追随する形となっている。しかしながら、国際機関が常に科学的に正しい判断をするとは限らず、また、個々の製品においてそれらの基準が厳格に守られているとの保証は無い。いかなる食品であっても、人体への、一定期間を経た後の悪影響(早期の第二次性徴発現を含む成長発達への影響や、性器等への長期的な見地から見た発癌性)の「証明」または、「発癌性を含む心身機能性の証明」は、人体実験ができない課題においては限りなく困難であり、常に相対立する論文が存在し、さらに、それらのデータ作成の背後にはそれぞれの方向性を左右する真っ直ぐな、または、偏った経済力がある。ヒトでの毒性が”科学的に”証明されていないこと、イコール、安全性の証明ではないことは、広く理解されなければならず、一つの事象の因果関係に関する統計学的有意性が科学的に否定された、とのことは、その因果関係の無さが証明された、との意味ではなく、対象となった関連性の有無は、その事象を解析するために用いた技術、または、用いた母数(観察対象の大きさ、人数)が持つ解析力の検出感度以下であった、との意味でしかない。 「炭水化物(エネルギー)」や「脂肪(エネルギーの貯蔵)」とは異なり、「タンパク質」とは命そのものの形であり、それを構成するアミノ酸やペプチドは、過去の命であると同時に、今の私たちの命であり、いわば働く命・働ける命であり、それぞれの働き(function)を持って存在している。タンパク質・ペプチド・アミノ酸は、それ単独であっても、人体において(エネルギーとなる、または、エネルギーを保つ以外に)機能 (function)する(故に命)。
米国における牛肉の消費量は、1976年当時(一人年間40kg)に比べ、半減しており、1980年頃より、主として富裕層において避けられ始めた安い赤身は(健康を気遣う富裕層は、赤身よりもチキン、さらに、大豆性タンパク質:豆腐製品やダミー肉、や和食:魚類を嗜好するようになり) 、近年、ますます避けられつつある。しかしながら、そのような米国内での牛肉消費量の低下(と癌患者の減少傾向)は、日本という「新たな市場拡大」と現大統領の「アメリカファーストへ向けた強い政治力」によって補われつつある。自らの食の在り方に関しては、”ちまたの科学的根拠(=影の経済力/政治力)”がリードすべきではなく、そのような影響を受けない「真っ直ぐな情報」と個々人の「強制力も忖度もない自由性」に委ねられるべきである。即時的、短期間に判断できる”一般毒性”の判定ではなく、長期的な発癌性や、精神身体機能性(食の「心」に及ぼす影響)の研究を実施するためには、実験動物に一定期間、長期的に、特別食を与え、その後の長期的な発癌性、または、記憶力や気力等への影響に関する客観性の高い解析法を用いる必要があるが、中でも、食事内容と脳・精神・身体機能性に及ぼす影響に関する(生きた動物を用いる記憶や気力に関する)実験は、極めて稀にしか行われていないのが実情である。従って、様々な食品が有する可能性のある「脳・精神・身体機能性の有無」に関しては殆ど明らかではない。
【国と国との利害の対立 対 生活・経済の普遍性】
最近、新型コロナウイルスによる致死的肺炎拡大への対策として、国際保健機関:WHOと米国の対応は解離し、中国(1949年建国、中華人民共和国、以下PRC)との経済的な繋がりを持つWHO代表は”中国の初動”を高く評価、一方、中国国内の若手医師は母国政府の初動を強く批判し(多くの患者治療にあたり、その後、逝去された)、また、米国は、自国民以外の中国からの入国を早期に禁止し、WHOが示す方針と対立する結果となった。そのように、米国はWHO等の”国際機関”の提言に従うこともあれば、あからさまに、そうでない時もあり、それぞれの課題と背後の経済性の多寡によって使い分けている。中国国内の言論封鎖や言論統制/言論誘導、基本的人権の毀損、一部地域で生じている民族浄化運動や歴史ある一部地域の破壊、国家戦略に基づく偽りの報道、拉致が疑われる中国国内法による中国人または邦人の拘束、等は受け入れられないが、経済活動におけるパートナーシップは受け入れ、同国よりのインバウンドはさらなる拡大を目指すという、政治上の理念と貿易通商/経済活動面でのダブルスタンダードが存在する。
世界からいつまでも戦争が無くならないのは、戦争の可否を判断、審判するために創設された国際司法裁判所(CIJ、本部オランダ)の提言に従う国が絶対的大多数になっていないからである。同組織の提言(選択条項)に従わない(受諾宣言しない)限り、核兵器の使用を含めた戦争の実施は、各国の判断に委ねられる。巨大な軍備を有する米国、中国、フランス、ロシア等は、同組織の「選択条項(義務的管轄権/強制管轄権)の受諾」を宣言しておらず、従って、同機関が定める内容に従う義務を負わない。
当然ながら、自らが想定する仮想敵国が同組織の提言に従わない限り、率先して選択条項の受諾を宣言するとは考え難い。日本はその点においても、ダブルスタンダードとなっており、WHOの下部組織である国際司法裁判所の提言には従うが、同時に、それに従わない米国軍の傘下でもあり、我が国への戦争行為に対しては核兵器を有する米国が判断し対処する取り決めとなっている。そのようにして我が国の安全性はシンプル、または、複雑に、適切巧妙に、または、不適切理不尽に、少なくとも見た目には「歪んだ形」で担保されている。
ダブルスタンダード(時にはマルチスタンダード)とは、ネガティブな意味では二重思考(病んだ精神状態、支離滅裂)と解釈される一方、TPOに応じて態度を変える、または、臨機応変、変幻自在(優れた精神状態、人智)、あるいは、止むを得ない時々の妥協と理解することもできる。個々の内容が正しいかそうでないかは、それぞれの判断に委ねられる。ただし、我が国の(少なくとも国内居住者が国外へ力によって連れ去られた)拉致被害者に関しては、当該地域の状況に関わらず、実質的な特殊警察部隊を海外に派遣してでも救出すべきと筆者は考える。当然ながら、そのことに関する拉致・犯罪者の許可や同意を得る必要は無く、人質の救出以外の何ものでもない。実際、米国は、巨大な軍事力を背景に、また、時には陸軍特殊部隊グリーンベレーの活動も併せ、米国籍の拉致被害者を取り戻しており、米国民の安全保障の一角を支えている。我が国に生じた北朝鮮国家による拉致被害に関しては、現在進行形の犯罪であり、明らかに被害者となっている日本国民の基本的人権が損なわれており、一部の方々の救出と帰国には成功したものの、それは加害者側が選んだ先方都合に過ぎず、その後、長年にわたり救出へ向けた有効な対策が実施されておらず、拉致被害者への我が国の「憲法違反(基本的個別的人権の不履行)」の状態が続いている。緊迫した政治情勢により、たとえ拉致現場へ潜入できずとも、少なくとも、確固たる抑止力確立と救出へ向けた実行可能な第一歩として「日本国憲法の下、国外の危険・または、紛争地域を含むすべての場所において、邦人が拉致された場合、身代金や同組織/同国への経済援助(=実質的な身代金)による解決法は国家として採用せず、救出のための特殊救出部隊(仮名)を派遣する権利を永久に保持する」とのことは、法の下に規定すべきであり、もしも、そのための法改正が必要ならば、速やかに実施すべきである。我が国の専守防衛に関する法は、すべての国民を平等に守るためにあるにもかかわらず、上記拉致被害の居場所が外国の危険地域では救出活動を行わず、経済支援・経済協力(実質的な身代金の提供)による解決法を模索する(選択枝も保つ)との現状では、それを目的とする我が国や個人への、または、企業への、さらには国の領海、領地への挑発や金銭目的(経済支援)の他国による犯罪行為は今後も無くならず(実際、隣国よりの様々な挑発が今も続いており)、真の独立国(専守防衛を実践できている国)とは言い難い。
ただし、日本の一部政党、または、一部の政治家グループが北朝鮮(朝鮮半島)、または、ソビエト連邦(当時)の一部イデオロギーグループに過度に接近し、国内における北朝鮮の政治手法への批判に強く反論し、「我が国に拉致被害は存在しない」と言い続けていた前世紀までと比較すると、我が国の民主主義の底辺は向上している。少なくとも、前世紀の我が国において、拉致被害者家族は、救出運動以前の問題として、国内に生じた多くの政治的抵抗を乗り越える必要があった(それにより数十年経過した)。 また、戦後、世界中に拡散した”朝鮮人慰安婦 強制連行報道”も、一部マスコミがもたらした虚偽報道:フェイクニュースであったとのことが、今世紀に入り確認された。 さらに、いわゆる核兵器反対を目指した市民活動が、外国の一部イデオロギー拡大のための「反米・親ソ活動」に利用されることもあった前世紀を振り返っても、今世紀以降の我が国の民主主義は進化した。今世紀に入り、ようやく核兵器反対への市民活動が、特定のイデオロギーに支配されない、政治家のみならず一般市民も参加できる真の世界平和を目指す本来の活動となりつつある。
一見、効率的な経済至上主義(一部組織のみの経済発展を目指す)の、しかし、持続不可能な上記のごとくの(歪んだ経済力や政治的圧力、ロビー活動/スパイ活動/フェイクニュースの拡大を伴う)組織運営は、日本の過去の一部政党に限らず、多くの企業、多くの組織に、今尚存在しており、社会的に持続可能な組織運営(新たな千年企業の創造)は、今も進化の過程にある。「フェイクニュース」との言葉が有名となった一つのきっかけは、過去の米国大統領選で、一部陣営が「大手マスコミ企業の報道力」を利用し、すでに大多数の指示を受けており、最有力候補であると啓蒙する選挙法を全国規模で展開し(報道が示す盛り上がりと現実との乖離がSNSで拡散され)、それが、大衆への言論操作(擬き)であったことが判明し、それ以来、同大手マスコミ報道に関する米国民からの信頼性は低下した。国民を操作しようとした大手マスコミ企業とその背後にある経済力への反発が現政権を支える結果となっている。
すなわち、日本や米国を含むいずれの国においても、フェイクニュースは「隠れた経済力/政治力」によって生じており、それへの対抗手段としてSNSが急激に台頭している。かつて生じていた西と東の冷戦対立は、または、殺傷能を持つ兵器を用いた対立は、一般市民が関わることが困難であったが、今世紀に入り、平時における「特定組織が有する大きな経済力」と「個々人のSNSを介した拡散の力」に置き換わりつつある。いずれも、それぞれの「正義実現」のための道具として対立している。
【先の大戦に働いた経済という名の生活/困窮の力、国と国との関係性/安全性/安全保障とは】
日本が世界最強とも言える米国軍部とそれを支える世界最強の経済力に護られている現状は、先の大戦後、敗戦国となった日本に対して米国が、日本自らの軍力(及び自らの軍事的判断)に支えられた真の独立国となることを良しとはしなかったようにも受け取れるが(実際、そのように訴える政治家が多くいたが)、その実、日本という国の、戦争(武力)という外交手段を用いた国際紛争に対する”解決能力の無さと文民統制力の脆弱さ”に見切りを付けた当時の総理大臣であった吉田茂が、多くの一般市民を巻き込む戦争の悲惨さを二度と繰り返さないために、かつ、自らの軍備を備えることに必要とされる経済力を持たなった当時の日本国(貧しかった母国)のために、自らの判断に基き、積極的に推し進めた《戦後状態から逸早く脱出し、平和を獲得するために選んだ道》であった。「日本への武力侵攻への応戦は自国で行う(拡大憲法解釈)が、戦争という軍事力を用いた国際紛争の解決へ向けた努力を、少なくとも日本の国力が充分に回復するまでは、日本が信頼する米国に委ねる」という、今の日本の米国との二国間の相互協力及び安全保障条約に基く、専守防衛の形が作られた。(旧、日米安全保障条約では、米国内において当時、分断されていた意見《日本に独立した軍事力を持たせるかどうか》を、積極的に持たせようとする側を骨抜きにするために、「米軍の国内駐留を日本国が希望する」と記されていた)。。。《日本国は、自国の防衛のための戦闘能力は保持するが、日米それぞれの憲法に基き、自国の防衛を超える他国への戦闘的攻撃(戦争)活動を用いた国家間の紛争解決手段を日本自らは実施しない。ただし、日本国への直接の武力侵攻(戦闘的攻撃活動)によって日本の平和を脅かそうとする第三国に対し、米国は、「日本国内に自由に置くことができ、かつ、米国の国内法に基き運営できる米国軍事施設」を活用した日本国の防御義務を有する(下記条約の両国の現行解釈)として現在に至る(1960年締結、岸信介総理大臣、新・安全保障条約、その後10年ごとの自動更新)》
上記、日米二国間安全保障条約 第5条 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危機に対処するように行動することを宣言する。」
ここでも、武力を用いた他国への攻撃(軍事)力と自国への攻撃に応じるための防衛力を使い分けるという、戦後作られた我が国の平和憲法を守る、という現実に則したダブルスタンダードが活用されている。それに近い概念は、戦闘を回避することを理想とする日本の武道にある(攻撃力は保持するが、それが強靭であるが故に、それを用いることなく、戦わずして勝つ法:強靭な力を有するが故に、相手の弱点が理解できる)。今の日本の、米国と繋がった専守防衛体制に強靭な力があるか否かは別とし、吉田茂が有した判断力と実践力は、その後の日本を支え安定させる力を示し、独自で強靭な判断をしたと言える。ただし、その時の形が今の時代にもふさわしいか否か、今後もこのまま(米国は日本の防御義務を有するとの条約解釈に拠る安全保障の形)が良いか否かは、主権を持つ(主人公である)今の日本人一人一人の判断に任されている。
【原子力爆弾/核兵器という、科学と経済の発展がもたらした先端科学兵器】
優れた軍事力は国を護るためにある。しかしながら、地域や国を守るために存在したはずの武力を専門とするプロの集団が(自らに与えられた任務を遂行し、”本来の責務”を果たすことのみのために)時々の文民統制から逸脱してしまうとの事例は、広島・長崎の原爆投下を含み、歴史上、度々生じている。 先の大戦当時、ルーズベルトの急死によって戦時中、しかも、終戦間際(4か月前)に大統領の座を引き継いだトルーマン(前副大統領)大統領は、その計画(マンハッタン計画)の詳細、その後、何十発もの日本国内における原爆投下の計画を、計画責任者のグローブス氏からは知らされておらず、むしろ煙に巻かれており、(マンハッタン計画の最高責任者であり、優れた頭脳を有していた)グローブス氏が、後日、「トルーマン大統領は、原爆投下計画について何も知らずに大統領になり、具体的な軍の戦略を説明しても理解しようとしなかった(戦争に関して実質的な「よきに計らえ」、または、「軍部に丸投げ」であった)。そんな何も知らない人が原爆投下を判断するという恐ろしい立場にたたされた。」と発言していたたことが明らかとなっている。また、トルーマン自身も、大統領就任直後、「そもそも私は戦争がどう進んでいるのか聞かされていないし、外交にまだ自信がない。軍が私をどう見ているのか心配だ」と自らの日記に記している(死因が重度の脳卒中であったため、軍事に関する前大統領からの申し送りはなく、そのことへの自信は無かった)。文民統制ができなかった(広島の重要な海軍基地を狙うのであって、原爆の落下目標地点に一般市民は殆どいない、とのグローブス氏からの説明を信じた)トルーマン大統領の、戦時における貢献は、3発目以降も計画されていた、さらに17発の日本国内への原爆投下を中止させたことにこそある。
グローブス氏は、それまでに巨額の資金(現在の2兆円超)をかけた国家プロジェクト(マンハッタン計画)のリーダーとして、核兵器の開発成功とその偉大な成果(敵国を破壊する大いなる力の存在:終戦一か月前の7月16日に完成した)を自国民に見せることで責任を全うしたいと(重圧からの解放を)願った一人の「高度軍事専門職」であった。相手を殺さねば自分たちが殺されるとの教育を受けた戦争軍事専門職の使命とは、対戦国が有する自国への戦意と、それを維持する国家的ガバナンスの破壊であり、攻撃部隊のリーダーであったグローブス氏は、そのような「自国の一大事」を任され、それを(優れた戦争用ロボットとして)全力で全うしたに過ぎない。今世紀に入り、スティーブンス工科大学アレックス・ウェラー准教授は、「(軍司令部が)一般市民を攻撃するのではないと見せかけたので、トルーマン大統領は広島に原爆を投下しても一般市民の犠牲は殆ど生じないと思い込んでしまった」と解説しており、明らかに国家的ガバナンスは乱れていた。トルーマン自身も、投下後、「日本の女性や子供への慈悲の思いは私にもある。人々(年内に21万人、その後を含めると60万人)を皆殺死にしてしまったことを後悔している」と書き遺している。
【国が唱える正義と犯罪 対 世界/歴史が認める正義と犯罪】
当然ながら、当時の日本にも、同様の国家的任務を与えられ、米国への敵対的戦闘活動を練り、実施していた戦争用軍事ロボットとして働く優秀な専門職はいたに違いない。その後の極東国際軍事裁判(東京裁判)においてさえ、インド(パル判事、米国の指令には一切、忖度せず、裁判そのものをボイコット)とオランダ(パル判事の影響を受けたレーリンク判事)の2名の判事以外は、”自らに与えられた立場をわきまえ”、軍人的専門職、または、法律家としての判断力を失い、事後に成立させた法、「平和へ対する罪;法の分類:A級犯罪【侵略行為=自国領域外での武力展開と統治=事後法として採択】によって人を裁く(有罪25名、絞首刑7名)という、その後の歴史感に耐え得る「裁判官としての公平な判断」を下すことができなかった(その他は、B級犯罪:個人罰=事後法として採択、C級犯罪:人道への罪=米国軍が多数の民間人を犠牲にし、非軍事施設を含む多くの市街地を破壊したため、採択されず/できず)。すなわち、名判事らも、自らに与えられた役割を果たすための、ある種のロボットとして働いた。 オランダのレーリンク判事は、東京裁判に参加し、事後法で裁くことへの良心の呵責を感じ、強力に推し進めようとしていたマッカーサー氏に助言した。戦後は国連から独立した平和を維持するための組織「国際刑事裁判所(ICC, International Criminal Court)」の設立に貢献し(本部オランダ/2003年~)、以降、武力による他国への侵略が、事後法ではなく現行法で取り締まることが可能となった(ただし締約国のみ)。日本は2007年、同裁判所の105カ国目の締約国となり、2023年現在、123か国が締約している(米国、中国、ロシア、北朝鮮等、核兵器の使用または、それによる他国への抑止力によって安全保障を維持する国々は締約せず)。2023年3月(ウクライナへの侵略戦争開始後)、ICCはロシアのプーチン大統領に対し「国際法違反/戦争犯罪との判決に基づく逮捕状」を発布した。一方、ロシアの国家安全保障会議副議長はICCに対し、「裁判官たちよ、よく空を見ておけ」とミサイル攻撃を示唆(威嚇)し、5月にはICCのカーン主任検察官とアイタラ判事、7月には赤根智子裁判官を(逆)指名手配した。そのようなロシアの行為に対しICCは「ICC職員に対する不当な威圧的措置を深く懸念し、国際社会全体にとって懸念される最も重大な犯罪に対する説明責任を確保するため、その合法的な任務を遂行することを躊躇しない」と述べている。
★国際刑事裁判所(ICC)とは、大量虐殺、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪を犯した個人を訴追して処罰するための常設の国際法廷。2002年に設立条約が発効し、日本は07年に加盟(加盟国・地域は123)。米国、ロシア、中国などは非加盟。犯罪の実行場所または被疑者の国籍が加盟国であるか、どちらかの当該国が同意した場合にICCの管轄権が認められる。ウクライナは非加盟国だが、ICCの管轄権を受諾している。
先の大戦後に米国ら戦勝国主導で行われた東京裁判が、「力による植民地支配という行為」を有罪とし、「その指導者個人を死刑に処す」、との裁定を下したことで、軍事を統括・指令した日本軍司令官、また、なぜか、一文官が冤罪として死刑となったものの、その後、同裁定そのものが、日本を裁いた国々にも影響することとなり(植民地を有する国の為政者らは自らの命の危険を感じ)、終戦当時、至るところにあった当時の戦勝国による「力による植民地支配」は、その殆どか消滅する運命となった。その意味において、1991年に、エドゥアルト・ヴァン・ティン-アムステルダム市長らが指摘したように(45-46)、大東亜共栄圏(白人に支配されない国の在り方)との理想は実現し、200年にわたり続いていた「それまでの白人による植民地支配を実現するための、力による領地の奪い合い(日本も領地を拡大する側に名乗りを挙げ、独自の拡大路線を目指した、または、目指さざるを得ない、経済力/軍事力がものを言う弱肉強食の時代)=世界規模で続いていた領地の奪い合いという戦国時代」は終わりを告げた(しかし、力による領地の奪い合いは、その後も絶えることなく続いている)。 戦後、日本は「日本が一方的に東亜圏への侵略戦争を仕掛け、多くの善良な市民を虐殺した」と(反日教育と反日政策という偏向教育や言論統制または、政権にとっての不都合な事実(実質的戦後補償であった戦後の経済支援、ODA等)を非公開に保つとの情報統制を、国内の治安維持および政権安定に利用せざるを得なかった一部の周辺諸国、および当時のソビエト連邦(ただし、当時、それぞれの国は経済的弱者でもあった)と、それらの国々よりの経済的つながりを有した国内一部政党や一部マスコミに、様々なフェークニュースの発信を通じ、強く支持されてきた。しかしながら、戦後70年を経て、米国人政府関係者のみが知る「開戦当時の具体的な政治背景」が、米国のさらなる発展のためにとの思いで開示・告発されており(47-51)、また、当時の機密文書も次々に公開されており、先の大戦に関する歴史認識は時代と共に変化しているが、最近の我が国でも、ようやく深まりつつある。
国家の”治安/政権”維持活動から個々人の生活維持活動に視線を移すと、本邦で2018年に公開された「万引き家族」(是枝裕和督)では、今の日本における、生きていくための手段、とも言える個々人の経済性と、社会が決めた良識に基づく法律との間に生じる葛藤、または、無葛藤性、および、社会的な許容/非許容性が描かれており、社会的善悪という通念(いわゆる、べき論)のみでは語れない「(個々人の)経済性に依存する(生活最小単位の)政治活動(生き様)」の在り方が示された。人としての在り方や世間の良識を語るためには、そこ(=一つの世間または生活単位)にいるすべての人の、生活に関する安全保障が欠かせない。それは、現代社会における、国家間、または、国と国民との間に生じる、経済・政治主義の対立と、弱者側に生じ得る改善すべき不条理/不合理性、または/および、それに基づく他国または他人を脅かす犯罪と見なすことができ、国家間で生じていることは、国内の個々人の間や企業内でも生じている。
もしも、世界から核戦争を無くすのであれば、核戦争を始めた個人、及び、応戦にも核爆弾を使用した個人は、「国際法により死刑に処す」と国際刑事裁判所等の国際機関で草案し、すべての国がそれを承認し受諾する必要があるが、未だ、そのようにはなっていない。「核兵器の使用が戦争を早く終結させ、多くの自国民が守られた」との、当時のトルーマン大統領が事後に作り上げた解釈、しかし一方で、「拡大をも辞さない果てしなき地上戦の遂行と一般市民をも巻き込む玉砕という名の全滅を理想的な戦いであると啓蒙し、推奨していた当時の日本軍司令部」には反論し難い「状況に応じた核爆弾の使用を肯定する論理」が、すべての核保有国に生き続ける限り、そして、それらを完全に打ち負かす力:この世に実在するカオスや不確実性=数理で表わし難い領域(心の中に宿る主観・客観という二元性の源/釈迦の説いた阿頼耶識・実在の領域)ではなく、数理と論理から成る非実在世界に留まろうとする人々を、無言/無思考/涼やかの世界へと鎮め、ある種の覚醒へ導く力を持つ「広島と長崎で生じた人類滅亡を予見させる生々しい惨状」が、世界人類に、真の理解と共感を呼び起こせない限り、また、自国を勝利に導いたトルーマン氏の内面に生じた深い哀しみと後悔が、「現場の人々の真の心を把握し難い、しかし、頭脳明晰で理屈堪能な(大きな権力の行使を任されている)エリート達」の心に深く滲み入らない限り、核兵器(攻撃力/応戦可能力)根絶への道のりは遠い。国際裁判所にすべての国が絶対的権威を与え、その判断に従うという世界共通の法的基盤が作れない限り、経済力を用いた攻撃や、拉致、スパイ活動、サイバー攻撃等による目には見えない敵対活動もあり、目に見える開戦/戦闘という行為が、果たして攻撃であるか応戦であるかは、それぞれの国の独自の価値観に基づき、絶対的なものとは成り得ない。
【広島の惨状現場; 永久保存という日本が成し得た奇跡、風化させてはいけない、との日本の人々の決意と世界への責任】
世界で唯一の被爆国となった戦後の日本は、「見るに耐えない」との被害者の悲痛な声、「見る度に被災した家族、遺族のことを思い出す原爆ドームは一刻も早く壊してほしい」との多くの人々の叫びにも似た嘆きと救いを求める訴えの中、想像を絶する多大な困難と、地域の人々の内部分裂という、さらなる試練を乗り越え、当時の惨状をそのままに残し、その時の現実を偏ることなく、誰かを責めるため、恨むためではなく、私達人類が犯した過ちであるとして展示し、当時のありさまを語り続け、今尚、風化させていないことは、和の心を受け継ぎ、尊ひ、育み続ける日本の真髄が成し得たことであり、そのような事後の、未来の人々を思い願う対応はすべての日本人の誇りであり、まだ見ぬ世界平和の実現に貢献している。
高級官僚、または、知的軍事専門職として最後まで自己に与えられた役目を全うし、自国の勝利に貢献したとも取れるグローブス氏の如く(日本の多くの軍事専門職の戦意を打ち砕き、国体保持と敗戦受諾に貢献した=もしも、戦争状態が持続していれば、国としての敗戦受諾は一部軍部の強い抵抗に遭い、さらに困難となっていたであろうことが後に明らかとなっており、一つの国が敗戦によって壊滅し、勝戦国が新たな政府を樹立するのではなく、実質的敗戦との終戦協定を独立国として受諾するためには、「戦争を行った独立国としてのガバナンス機構」の最低限の存続が必要であった)、自らに与えられた任務達成のために「信頼できない上司」を煙に巻くことに関しては、その後の日本でも生じており、例えば、「いたって重要な案件のため、最近、着任したばかりの担当大臣(我が上司)には、あえて申し上げませんでした(省庁を動かす頭脳者である高級官僚の弁)」との、かつて見られた状況(判断できない、しかし、選挙には強い”大臣”が君臨することもあった過去の時代)に垣間見ることができる。専門性も人望も有さない、”形ばかりの上司” に忠誠を尽くすことはいつの世も困難であり、上記のような(優れた頭脳者集団による、方向性を誤った)文民統制: Civilian control over the militaryからの逸脱、トップダウン型ガバナンスに生じる現状に合せるための齟齬が、「他国の特殊性」であるとは言えない。
今の世界では、それぞれの国の「独自の解釈と情報戦(人材と資金の投入による研究開発)」によって重要な物事か判断されており、それらの「経費と時間を要する重要なものごと」の判断を、無条件に(我が国の安全性の根拠として採用し)委ねられるまでに(様々な国の経済にその活動を依存する)すべての国際機関が信頼され、依存されているとは限らない。国家である限り、国民を守ろうとする強靭な主体性の存在とそれへの行動力が欠かせない。しかしながら、国と国との間において、「健康や自然を守る力」と「雇用を守る力(または、一部国家や組織の経済力の拡大)」とが相反した場合、結果として後者が勝つことが圧倒的に多く、時には国家の主体性、国民の主権そのものがが置き去りになることもある。一般に語られないことではあるが、経済破綻による企業倒産の増加は、経済的自殺者の増加を促すとの側面もあり、経済的な豊かさを有すとみなされている日本の年間の自殺者数は経済的自殺も含めて3万人前後で推移している。また、経済的な困難の増加は、積極的な自殺を増やさずとも、アルコール依存からの肝硬変や、過食や身体活動の低下に起因する脳内BDNFの低下に伴う気力の低下、及び、記憶力や認知能の低下、そして癌を含む生活習慣病の発症、結果としての短命(15)となり、消極的自殺者を増加させる結果となる。すなわち、経済という理数と論理が支える生活の力を無視することはできず、その力が個々人が置かれた環境で最強、唯一となることもある。それらすべての力、命と、経済と言う名の生活力を護る力が、世界人類の叡智により、誰かが犠牲とならざるを得なくなるような忖度ではなく、思いやり、助け合いにも通じる道、常に同じ理念を有し、持続可能で犠牲者を生まない方向を向く日(=オリエント:Oriens;語源「日:HIに向かう」)の到来が請われている。
【豊かな大地での地産地消 対 砂漠や極寒地域での地産地消(グローバル化の利点と欠点)】
健康増進、または、地域の自然を護るため、または、人と自然との共存を目指す「地産地消」という言葉は、地元で採れた旬の食品を地元の人々で食する(持続可能な健康の形)、との意味を持つ。赤身食に関して言うならば、食するために動物を屠殺(とさつ)できる、または、その技術を持つ人がいる地域での赤身の摂食習慣の実践こそが、地球的規模での地産地消(地域特異性/多様性)本来の姿である。哺乳類を食するために欠かせない、しかし、地元の人では行えない、または、行う人がいない「食するため、体内に残るいかなる麻酔薬も使用できない、しかし、仲間の血液の臭いや目の前の死体の存在により、自らの命の危険性を察知できる哺乳類の屠殺」という作業を、「外国の誰か、または、村人ではない ”誰か見知らぬ人”」に全面的に依頼/依存する(知らず知らずに押し付けているかも知れない)ことは本来の地産地消とは言い難い。最近、広く用いられているスタニング法(電気またはガス)を用いた一過性の失神導入とその後の、心停止ではなく自然の心拍出機能を用いた放血(完全な脱血に向けた)処置開始後の牛や豚の覚醒確率の、全施設での開示が求められる (参照:スタニングを用いた安楽死の失敗を生じさせないために注意すべき豚の兆候/PDF)。スタニングの失敗比率が永遠のゼロとならない限り、(その後のステッキング:喉刺による放血開始後の覚醒による) 2回目以降のスタニングを用いる必要性が、’完全に’無くならない限り、または、消費者がそのような現場で生じる事実に無関心であり続ける限り、それは例えば、諸外国の低賃金(という目に見えない経済の力)で行われる「他国での森林伐採」と、それによって生じる「安価な木材の大量消費がもたらす、消費者が気付きにくい、地球規模で生じる深刻な自然破壊の進展)」に通じる「経済発展と雇用拡大を伴うグローバル化の陰での、知らず知らずに進行する消費者都合が生み出す所作」と成り得る。ただし、諸外国の食文化を自国の常識によって断罪する過度の(攻撃的、または、何等かの経済/政治活動を背景に有する)”動物愛護活動・擬き” は決して好ましくなく、「食習慣の選択」はあくまでも、諸外国による企業経済の力に基くロビー活動に負けない、自国の、または、自らの、良識と判断に拠るべきと筆者は考える。
【生活苦、対、過度の欲望が引き起こす紛争や戦争】
経済の力は目に見えないことも多く、先進国と言われる経済力の強い;豊かな国々は、その生活を陰で支えている経済力の弱い;貧しい国々の(自分や家族の生活のためであれば、人間性という「先進国が唱える”きれいごと”を抑圧する」しか生きる術のない人々が住む地域の)自然環境や仕事環境という実情に無関心であってはならない。私達は過去に、他国がもたらそうとした目の前に迫った生活苦を一つの根拠として開戦した経験を持つ。少なくとも、死へ向けた処置を恐怖と感じ、それを体内記憶として保存し得る、牛や豚を含む哺乳類に対する、高い技術レベル、深い愛情と感謝が求められる屠殺作業のみは、自国内(その作業を誰が、どのように担当してくださったかがわかる範囲)で完結すべきと筆者は考える (食する人々が持続可能な思いや祈りで屠殺し、収穫するのが本来の地産地消)。世界民族に優劣は無く、しかし、時々の経済力には優劣がある。時・空的限定という仮定または仮説を前提とした(閉ざされているとは捕えがたく既存の物理法則には従わない命の活動、または、主観が扱う「閉ざされた時空間」に基づく有限目標、または、「閉ざされた時空間」に基づく計算と結果に従う)数理や論理に基く経済活動を行う限り、生産現場で生じ得る様々なマイナスバランスを経済的優位性を持つ強者側が見逃さず、一時期の損失を覚悟してでも、それらへの適切な対策を取らない限り、極度の経済苦/困窮という生活の逃げ場を失った、または、失おうとしている人々の苦悩は、 かつての日本もそうであったように(47‐48)、戦争を含む様々な紛争を引き起こすエネルギーとして蓄積し、やがて爆発する(52)。また、そのようなエネルギーは、世界規模のみならず、国内でも蓄積しつつある。
経済活動は、人々の豊かさを生み出すことに貢献しているが、同時に様々な病気、貧困、紛争、自然破壊を生み出す力も有しており、現代の経済活動は一人一人の生活の在り方と求め方を含めた、持続可能で、より高度な調和が決めている。
【声なき水の声、水源を制する経済の力】
水に恵まれた日本国内では気付き難いことではあるが、 上記(牛飼育による自然界への影響)でも触れたごとく、 近年、世界的規模での、特に食の大量輸出国での「水資源の枯渇化」が危ぶまれている。基本的に自らの食と生活のために使用することが許されるのは、回復(持続)可能な地元(自国)の自然と生きものと水を用いた経済活動のみであり、グローバル化が進む現代社会において、外国産のもの(他国の自然や、生きもの、生活水)に依存する場合には、それら地域環境の持続可能性に無関心でいることは最早許されず、正しい情報に基づく節度と地球環境への配慮、一人一人の、日々の実践(Oriens)が求められている。
地球上の貧困を撲滅するために、地球全体を巻き込む自由経済圏の拡大は極めて重要である。しかしながら、拡大のみを求める自由経済(原理)主義と理数的根拠のみに基づく偏ったグローバル化の進展は、自国の経済的利益を損なうとの理由で作り出される敵国を破壊する力のみならず、私たち命を守る地球環境をも破壊する力を持つようになった。命、および、命を取り巻く社会は、見える力と見えない力の平衡状態にあり、理屈や数理や表記された文字・記号が支配する物質世界と、必ずしもそうではない主観と共感、創造(破壊と新生、または、再生と覚醒)の世界を創り出している。私たちの地球を護り、人類が生き残り、持続可能となるための正しい情報、本来自然の生活様式を入手し、各国が保つ異なる利害関係、力関係、歴史的関係の中で、すべての命と心に関する共通領域を大切に守りつつ、地球が耐え得る、和食ならず、千年以上続く、自然にも支えられる和の経済活動/末永き共存共栄を求め、温暖化による天災に脆弱と感じる国/集団、ヒノモト:日が照らし、日に向かう人々が、和して活躍すべき時が来ている。
【太古の(普遍的な)過ちと智慧】
ここで言う「日:Hi、または、ヒノモト」とは(特定の宗教活動や特定地域にリンクするものではなく)、地球であり、太陽であり、または、人類、宇宙、自然、それらのすべてが繋がったもの、または、かけがえのない真の自分と、かけがえのない大自然でもある。 また、「和:Wa」とは、異なる個性がそれぞれの持ち味をいかしつつ、同じ方向を向き、一つの輪になるがごとく、ものごとが機能的、かつ、美しく循環し、自然界/世間を含む、’三方良し’と成るような、持続可能性を追い求める太古よりの理念であり、その意味において「平和」や「和食」との言葉は極めて美しい。日本で用いられてきた「神、神々」との言葉は、尊敬/畏敬する先祖(または、それが宿る/影響する土地、人、もの)であり、古事記の中の多くの神々も、”悪”の限りをやり尽くした”人間そのもの”であり、特定の宗派の基盤となる the god、または、団体のトップに立つ書記長 general secretaryではない。日本という国のルーツ、先祖や過去の”人間”に対する尊敬と畏敬の念を込めた呼び名である「神、神々」に生じた”人間”としての様々な時代を超えた過ちと、それらからの立ち直り様を示す「古事記」≪普遍的な宗教性、人の在り方とは≫に関する記録は、いたってシンプルではあるが科学的思考の枠(時代時代の善悪)を超えているとの要素、あるいは、戦後GHQの政策(53-54)により、日本の義務教育から除かれている。
「念ずれば 花ひらく」とは、坂村真民氏(仏教詩人)の母が、彼が幼い頃から口ずさんでいたという言葉。 すべては、一人一人の心の在り方(理念)と、立ち居振る舞い(個としての在り方/身の処し方)に相互依存する。現代の私たちは、世界の在り方と人類が進んでいる方向性を自らの知識と経験で捉えつつ、 豊かで楽しい食を選ぶ自由と責任(responsibility:適切に応じることができる力)を、単独かつ共に、という、論理上の矛盾と共に持つ。この世の大切なことはおしなべて、ダブルスタンダードという論理的矛盾が制御している。現実世界にあるダブルスタンダードを様々な理論を駆使し、非難することはできても、その一元化ができない状況、いわば「力と力のせめぎ合い」が、いつの世にも生じている。それは、人間という生き物/生き方が理論の世界に収まらず、相互・多角的依存/多様・共生していること(はらからのごとくであること)を示しているかもしれず、さらに、絶対的な(時代を超えた)善悪が無いこと、または、心の中にある戦争と平和(思いやる心と不安/攻撃の心、という二元性の)世界を反映しているのかも知れない。過去や現在の如何なる過ちも、人類がそれを二度と起こさなくなった時、初めて許され、真の慰霊が成されるのであろう。 私たち人類が、個人や国や世界の歴史認識、生活や食習慣や自然への認識をさらに深めていくことで、世界がますます豊かで平和になることを念じています。
ここで用いた「知識という名の情報やそれに基く論理そのもの」に「命の在り方」や「普遍的で絶対的な正しさ」を説く力は無く、それは、命に与えられた「命のための、その時々の道具」に過ぎない。心の中にある感謝の念や、誰か何かどこかを思いやる心、祈りや、あらゆる芸術は、理論や理屈を超えた世界(中今)に在る(または、そこから生じる)からこそ美しい。すべての論理は(主観に従う)ある種の道具に過ぎないが、身体も脳も物質そのものであり、それは、過去と現在の食べ物が、物理の法則に準じて作っており、食べ物そのものが論理の動かし方、善悪の判断、個々の安心と不安、次の食べ物の選択(主観)に影響することはあり得る。
Ⅴ.結 論
戦後の経済発展に伴う食の変革により、私たち日本人は、先の大戦後、赤身の摂取率を高め、神経・精神への防御能を高める働きを担っていた玄米(糠:ぬか=玄米の皮)の摂取率を低下させた。実験の結果、良質な(糠成分を失わず、GABAが増加した)発芽玄米の持続的な摂取は、マウスの脳皮質内、および、海馬内のBDNF 量を増加させ、精神ストレス曝露後に生じるうつ様行動の発現を抑制し、また、空間・記憶/学習能を向上させた。一方、玄米(無発芽)を摂取したマウスの海馬内BDNF量は、正常対照群に比して有意に増加したが、うつ症状の抑制や空間学習・記憶の向上は観察されなかった。すなわち、脳内BDNF の産生量、ストレス耐性、および、空間認知に関する記憶力は、食事内容の影響を受けて変動することが明らかとなり、かつ、かつての玄米より尚、良質な本発芽玄米(発芽中の腐敗を防止した本発芽玄米の作成に使用した独自製法)が有効であることが示された。
一般的に、様々に異なる食事は、それを持続的に摂取することにより、脳内のBDNF 量が、1.変化しない、2.低下する(記憶と気力の低下)、3.増加する(記憶と気力の増強)、のいずれかである。現代の様々な食事内容が、脳由来神経栄養因子:BDNF の産生や、生きるために必要な気力や意欲、さらには不安と攻撃性出現の閾値設定、抗不安性、または、不安耐性力を制御する神経・精神活動へ、如何なる影響を及ぼしているか、に関する(神経成長因子への影響から診る)研究は極めて少なく、現代人の食事内容と食習慣の最適化、少なくとも、既知または未知の、有病者数または潜在的有病者数の低減を目指す本研究領域(脳機能に及ぼす稲という食材の良好な影響の利用と活用)の、さらなる発展が求められる。
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- 「世界が語る大東亜戦争と東京裁判」吉本貞昭 著, ハート出版, p.134 に示されたククリット・プラモード 元タイ首相の発言『日本のお蔭でアジア諸国は全て独立した。日本というお母さんは難産して母体を害なったが、生まれた子供はスクスク育っている。今日、東南アジアの諸国民が、米・英と対等に話が出来るのは一体誰のお蔭であるのか。それは身を殺して仁を為した日本というお母さんが在った為である。12月8日は、我々にこの重大な思想を示してくれたお母さんが、一身を賭して重大な決心をされた日である。さらに8月15日は、われわれの大切なお母さんが病の床に伏した日である。我々はこの二つの日を忘れてはならない。』
- 終戦五十周年国民委員会編『アジア共生の祭典』p.9、許國雄 台湾東方工商専科大学学長の発言『国際戦争は個人の喧嘩と同じく、誰が先に手を出したのかを問うのではなく、誰が喧嘩を売りつけたかを問わなければならない。このような意味で、米国を主とするA, B, C, D(米、英、支、蘭)諸国は、日本を生き埋めにしようとハル・ノートで喧嘩を売りつけたのである。戦後、米駐日大使グループは「戦争のボタンが押されたのは、日本がハル・ノートを受け取った時点だというのが私の確信である」と証言し、英駐日大使クレーギーも同様の証言をしている。日本は喉元に刺された匕首(あいくち、短剣)を払うために、つまり生き抜くために戦ったのである。』
- 「世界が語る大東亜戦争と東京裁判」吉本貞昭 著, ハート出版, p.183 、ダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官の発言、『日本原産の動植物は、蚕をのぞいてほとんどないも同然である。綿がない、羊毛がない、石油の産出がない。錫がない、ゴムがない、ほかにもないものばかりだった。そのすべてがアジアの海域に存在したのである。もしこれらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万人の失業者が日本に発生するであろうことを彼等は恐れた。従って、日本が戦争に駆り立てられた動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだった。』
- 「世界が語る大東亜戦争と東京裁判」吉本貞昭 著, ハート出版, p.182 、ハーバート・フーヴァー (Herbert Clark Hoover )第31代アメリカ大統領の発言、『1941年7月の金融制裁は挑発的であったばかりでなく、その制裁が解除されなければ、自殺行為になったとしても戦争せざるを得ない状態に日本を追い込んだ。制裁は殺戮と破壊以外の全ての戦争行為を実行するものであり、いかなる国といえども、品格を重んじる国であれば我慢できることではなかった。』
- 【産経新聞】2011年12月7日 、「ハーバート・フーバー第31代米国大(1987-1964年)が、日本軍が1941年12月8日、米ハワイの真珠湾を攻撃した際のフランクリン・ルーズベルト第32代米国大統領(1882-1945年)のことを、対ドイツ参戦の口実として、日本を対米戦争に追い込む陰謀を図った『狂気の男』と批判していたことが分かった。 米歴史家のジョージ・ナッシュ氏が、これまで非公開だったフーバーのメモなどを基に編集した「FREEDOM BETRAYED(裏切られた自由)、原著者 ハーバート・フーバー」(注:草思社 2017/7/19、渡辺惣樹 訳)で明らかにした。
- 「ルーズベルトの開戦責任」 原著者 Hamilton Fish, 草思社文庫、2017年4月4日、ハミルトン・フィッシュ米国下院議員(当時)の発言、「日本との戦争は、対ドイツ参戦の前段にすぎず、チャーチルとルーズベルトこそがアメリカを、この戦争に巻き込んだ張本人である。」≪後になって明らかとなった様々な資料は、ルーズベルト大統領が自国の地位向上と経済発展・内需拡大のため、しかし、自国からの開戦が許されない状況にあったため、日本からの開戦を待ち望んでいたこと、その一環としての対日経済封鎖であったことを示している》
- 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足るーアフガンとの約束」、澤地久枝(ノンフィクション作家)、中村哲(医師)、 岩波書店、2010年2月25日
- 「まだGHQの洗脳に縛られている日本人」ケント・ギルバート(米カリフォルニア州弁護士)著、PHP研究所、2015 《国内マスコミによるGHQ批判を禁じたプレスコード/報道統制を含む「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム:War Guilt Information Program、WGIP」の実施による、その後の(現在に及ぶ)日本国民の思考法、または、他国への発言や主張を含む言論の自由への影響に言及している》
- 「日本人への遺言 PartⅡ『和の国』のかたち」、渡辺昇一(上智大学名誉教授)、日下公人(多摩大学名誉教授、経済評論家)著、徳間書店、2017 ≪以下のような「削除および発行禁止対象のカテゴリー」が示されている:①連合国最高司令官もしくは総司令部に対する批判②極東国際軍事(いわゆる東京)裁判批判③GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判④検閲制度への言及⑤アメリカ合衆国への批判⑥ロシア(ソビエト連邦)に対する批判⑦英国への批判⑧朝鮮人への批判⑨中国(中華民国、その後の革命:国民政府軍と中国共産党軍との間で行われた国共内戦により、1949年中華人民共和国:PRCとし新たに建国)への批判⑩その他連合国への批判、他、全30項目。》【注:2010年、尖閣諸島付近での違法操業を注意した日本海上保安庁の巡視船に中国(PRC)国籍の漁船が体当たりした際、日本政府がその事実の公表を避け続けたことは、米国占領下の日本に課されていた上記規約が、少なくとも2010年当時まで(国家を代表する為政者の恐怖体験として)生きていたことを示し、また同時に、現代の民主主義が、先の大戦時と何ら変わらず、そのような恐怖と共にある一人の人間(神話の神々に似た、誤りを犯すこともある尊い一個人)が、国民から与えられた自衛隊をも動かせる大きな権限を用いて、国家の進むべき道を選択しなければならないことを示しました。外国漁船による自国巡視船への体当たりの隠蔽、及び、東日本大震災に伴う海水の流れ込みによる全電源の喪失、原子炉水位計の故障や非常用復水器の動作不全、緊急時に生じた現場の混乱や周辺道路の渋滞による対処機能の低下、および、それらによるベント開始の遅延という人災の要素も重なった原発事故による原子炉メルトダウンという緊急非常事態の国民への非公開、あるいは、阪神・淡路大震災における人命救助を目指す国家的対策の初動において、それまで(存在)反対の立場を貫いてきた自衛隊派遣を見送り、救出を遅らせた当時の日本政府の初動/無動の判断は、外見を重視し、または、外国の反応を過度に恐れ、または、自国の統治体制防衛のため、新型ウィルス性重症疾患の発見を隠そうとした近隣諸国政府が示した判断に似ています。一般的に、理知的であるほど過去の恐怖体験を忘れ難く、また、目の前の未体験への恐怖を(それが自分以外、他者が感じるものと外部へ投影することにより、不安そのものを)より大きく感じる傾向があります。すなわち、恐怖に圧倒され自らの判断を見失います。自らの主観力は弱く控えめとし、時にはそこに無き者とさえ成り、他者/他国からの評価、または、外部や身近に居る自己に対する経済的優位性を有する者に忠誠を尽くし、全力で応えようとする理知的勝者、または、我が国の政党間もしくは政権与党内での「数を競う選挙という戦い」を勝ち上がり、「国家・政権・組織運営の長」との大きな権限を手にした「時々の勝者」すべてに、例外なく、国家や組織の安全保障や持続可能性を委ねることが有する危険性を示しています。】
以下は、BDNFの話題から外れた脳疾患の基礎研究に関するお話です(ご興味のある方へのみ)。
下にある「QRコード/ボタン」は、マウスに脳梗塞を発症させることで、様々な物質の「脳保護作用」が検証できる動物モデルの紹介です(海外医学雑誌にウェブ公開中)(約10分間のマウスの脳外科手術が始まりますので、ご注意願います)。人に用いることを目的として開発された先進の微小脳外科技術(microsurgery techniques: 適材適所の鋭的または鈍的剥離)を実験動物(マウス)に用いており、人の場合と同様、創部での出血は殆ど生じません(本手術操作は肉眼では行えず、脳の露出:バーホールと呼ばれる開頭部の直径は1.5mm以下にて、術野に時々現れる[剃毛用の両刃カミソリや、術者の”指”の大きさ]より、頭頸部に設けたそれぞれの手術創の、およその大きさがご想像いただけるかと思います)。
脳は「側副血行」という、複数の血管系によって栄養されて(血流を受けて)おり、そのために、特殊な場合を除き、脳内の一つの血管閉塞のみでは、脳梗塞が生じません。局所の脳血流をさらに減少し、脳梗塞が生じるために、両側の総頸(そうけい)動脈を同時に、2mm長のブレードを持つミニクリップを用いて一過性に遮断します。つまり、塞栓物質が末梢へと流れることで生じる塞栓性脳梗塞は別として、その他の、いわゆる血栓性脳梗塞が生じる場合、複数(または、多数)の血管に狭窄、または、閉塞が生じています。本動物モデルの場合、3血管(両側の総頸動脈と一側の中大脳動脈、合計3本の血流遮断)のうちの2本(両側の総頸動脈のみ)は、閉塞開始後15分間で解除し、その後、頭蓋内にある中大脳動脈は閉じたままとしますが、同血管に養われる領域の局所脳血流は正常レベルへ戻ります (両側の総頸動脈を介した「側副血行」が適切に機能するため、他の複数の血流チャンネルより、同領域への十分な血液の流入が生じるため、3血管同時閉塞時に低下した脳卒中の原因となる程の強度の局所脳血流異常は回復、消失します)。ただし、その15分の間に生じた局所脳虚血(虚血とは、酸素不足)で生じた脳代謝障害、脳障害→脳傷害→脳梗塞(壊死:えし=細胞膜の破壊)と呼ばれる「炎症性の病態」は、血流回復後も(時々の体温に応じて)進展します
The QR-code/button to move to the movie with mouse brain surgery. The animal model was developed to find effective treatments for minimizing cerebral infarcted lesions and neurofunctional deficits.
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